県庁職員4,000人の働き方を変えたテレワークの導入
佐賀県庁ではCIO(最高情報統括監)として、県庁業務のあらゆる分野でのIT活用を促進。
現在ではコロナ禍で普及したテレワークも、2014年10月から全職員4,000人を対象に導入しました。地方自治体においては画期的な先進事例となりました。
CIO就任当初は、変化を嫌う日本の地方自治体でテレワークを導入することは膨大なエネルギーが必要になることが予想され、実際に導入することなど考えてもいませんでしたが、「新型インフルエンザ蔓延時などの業務継続」や、職員の大多数を占める40-50代職員に今後押し寄せる「業務と介護の両立」といった課題に加え、2012年の安倍内閣で「女性活躍推進」や「働き方改革」が政策として打ち出され、これらをまとめて解決する方法論として、封印していた県庁職員のテレワークを2013年から具体的な導入の検討を始めました。
テレワークを導入して間もなく、「業務効率の改善」「非常時の業務継続」「ワークライフバランスの向上」等目に見える効果が現れました。
これは新しい環境を有効に活用した職員の創意工夫と努力の賜物であると同時に、「何のためにテレワークを導入するのか?」という目的を明確にして職員へのコミュニケーションを図ったこと、テレワークの利用拡大に向けて情報部門と業務改革部門が丁寧かつ網羅的に各部門をフォローしたことなどが大きな成功の要因と考えています。
どんな抵抗があっても必ず実現する決意をもった後は、情報・人事・業務改革によるチームを作り戦略的に取り組みました。当時の古川知事のITを活用した働き方を導入するという意識とリーダーシップで徹底的に推進したことも成功の要因の一つです。
テレワーク導入効果を実感
テレワーク導入から3か月後、県内で休日に鳥インフルエンザが発生するも、職員は登庁することなく自宅から仮想デスクトップの環境で、対応マニュアルを確認したり、上司や同僚と連絡を取り合い、大きな混乱もミスも発生しなかったことでテレワークの恩恵を感じることが出来ました。
テレビ会議システム
場所に関わらず、出先からでもPCの前に座るだけで会議に参加することが出来るため、遠方からの出張や、全員の移動時間も考慮した上でスケジュールを合わせる必要性もなくなりました。今ではWeb会議としてWebexやZoom、Teams等広く使われています。
仮想デスクトップやタブレット端末の利用で業務効率化
それまでは、庁内のネットワークでしか業務PCが使えなかった状況が、インターネットに接続出来る環境であればいつでもどこでも業務用のメールが使えるようになり、出張帰りにメールを確認する為だけに登庁する、という必要がなくなりました。
佐賀県CIOとしての主な実績
- ● 情報システムコストを44億円削減(※2009~2016の 8年間)
- ● 県庁全職員を対象としたテレワーク導入(2014年)
- ● 救急医療の現場でのICT活用
- ● タブレット活用による民生委員の地域見守りの高度化 実証実験
- ● データサイエンティストによる政策へのデータ活用
→総務省「第1回地方公共団体における統計利活用表彰」総務大臣賞受賞 - ● 原形が失われた歴史遺産へのVR・ARを活用した再現
- ● YouTube「恋するフォーチュンクッキー佐賀県庁Ver.」230万再生達成
→全国一大ムーブメントの火付け役
→その後の自治体による動画配信のさきがけ
→その後の佐賀県による企業やメディアとのコラボのさきがけ